NISA口座は相続できるのか
NISA口座は名義人が死亡した場合、その時点で非課税の扱いが終了します。相続人がそのままNISA口座を引き継ぐことはできず、相続人自身がNISA口座で引き続き非課税運用することも基本的にはできません。
具体的には、名義人が死亡した時点のNISA口座内の資産(株式・投資信託等)は「課税口座」で評価されます。相続人がその資産を引き継ぐ場合は、死亡日時点の時価で相続し、そこから値上がりした分には税金がかかります。
2024年から「特定非課税管理口座(継続管理口座)」という制度が導入され、一定条件のもとで配偶者が被相続人のNISA資産を非課税で引き継げる仕組みが整備されました。
継続管理口座(配偶者への非課税引継ぎ)
2024年から新設された「継続管理口座(特定非課税管理口座)」を使えば、配偶者(婚姻関係のある法律上の配偶者)がNISA口座の資産を非課税のまま引き継げる場合があります。
- 対象: 死亡した人の配偶者(婚姻届を提出した法律上の配偶者)
- 条件: 相続開始日の属する年の翌年12月末までに手続き
- 引継ぎ上限: 被相続人の非課税枠の残額が上限
- 手続き先: 被相続人が口座を持つ証券会社に届出が必要
ただし継続管理口座の枠は相続した分に限られます。配偶者自身のNISA口座の枠(生涯1800万円)とは別に管理されます。また、相続開始後の手続きに期限があるため、金融機関への連絡は早めに行うことが重要です。
NISA資産の相続税の取り扱い
NISA口座内の資産は「相続税」の対象になります。非課税口座といっても相続税は免除されません。相続人は死亡日時点の時価でNISA資産を相続財産に含め、相続税の計算を行う必要があります。
| 税金の種類 | NISA口座の扱い |
|---|---|
| 所得税(運用益) | 非課税(NISA口座内) |
| 住民税(運用益) | 非課税(NISA口座内) |
| 相続税 | 課税対象(死亡時の時価で評価) |
| 贈与税 | 生前贈与の場合は贈与税が課税 |
相続財産が基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合、NISA口座の資産も相続税の対象になります。高額の資産をNISA口座に蓄積している場合は、相続対策も並行して検討しましょう。
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生前にできるNISAの相続対策
NISA資産の相続に備えた事前対策として以下のことが考えられます。
- 遺言書の作成: どの資産を誰に相続させるか明確にしておく
- 金融機関への事前通知: 相続手続きが必要な口座・資産を家族に伝える
- 死亡診断書・戸籍謄本の準備: 相続手続きに必要な書類を把握
- 配偶者への継続管理口座の活用: 手続き期限内に申請を済ませる
- 相続税の試算: 資産規模が大きい場合は税理士に相談
【実例】70歳の父が急逝、NISA資産1,200万円の相続で直面した問題
山田さんの父(享年70歳)は新NISAを2024年から始め、1年間で成長投資枠・積立投資枠を活用して元本1,200万円(評価額1,350万円)を保有していました。父が急逝し、相続人は母(65歳)と山田さん(42歳)の2人。手続きを進める中で以下の問題に直面しました。
| 直面した問題 | 内容 | 対処方法 |
|---|---|---|
| NISA口座の非課税終了 | 父の死亡時点でNISAの非課税が終了する | 死亡日の時価が取得価額となる。以後の値上がりは課税対象 |
| 母への継続管理口座 | 配偶者である母に非課税引継ぎができると知らなかった | 証券会社に連絡し、翌年12月末までの期限内に手続き |
| 山田さん(子)の相続 | 子は継続管理口座が使えないため課税口座での引継ぎ | 相続評価額(1,350万円)の時価が取得価額となる |
| 相続税の計算 | 評価額1,350万円が相続財産に含まれる | 基礎控除(3,000万円+600万円×2人=4,200万円)内なら相続税なし |
山田さんのケースでは、母が継続管理口座を活用して父の1,200万円分のNISA資産を非課税で引き継ぐことができました。ただし、手続きの期限(翌年12月末)を知らずに半年が経過しており、証券会社に連絡した時点では期限まで残り半年しかなく、焦って手続きを急ぎました。「NISA口座の相続」は事前の知識と素早い対応が命取りです。
配偶者への継続管理口座の手続き期限は「相続開始日の属する年の翌年12月末」です。手続きに必要な書類(死亡診断書・戸籍謄本・相続人全員の印鑑証明など)の準備にも時間がかかるため、相続発生後できるだけ早く証券会社に連絡することが重要です。
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まとめ
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NISA口座は名義人の死亡とともに非課税の扱いが終了しますが、2024年からは配偶者への継続管理口座制度が導入されています。NISA資産は相続税の対象になるため、資産規模が大きくなってきたら相続対策も視野に入れておきましょう。
- 死亡時点でNISAの非課税は終了。その後の値上がり益は課税対象
- 配偶者は継続管理口座で非課税引継ぎが可能(翌年12月末が期限)
- 子・兄弟など配偶者以外の相続人は継続管理口座が使えない(課税口座での引継ぎ)
- NISA資産も相続財産に含まれ相続税の課税対象になる
- 相続発生後、すぐに証券会社へ連絡することが最重要
よくある質問
Q. 子供はNISA口座を相続できますか?
A. 子供は継続管理口座(非課税の引継ぎ)は使えません。子供に相続する場合は課税口座で引き継ぎ、死亡時点の時価を取得価額として今後の譲渡益に課税されます。
Q. NISAの相続手続きはどこでできますか?
A. 被相続人が口座を持つ証券会社に連絡し、必要書類(死亡診断書・戸籍謄本・相続人の確認書類等)を提出します。各証券会社によって手続きが異なるため、早めに問い合わせることをおすすめします。
Q. 配偶者への継続管理口座の手続き期限はいつですか?
A. 相続開始日の属する年の翌年12月末までに手続きが必要です。例えば2025年3月に亡くなった場合、2026年12月末が期限です。
Q. NISAで増えた資産も相続税がかかりますか?
A. はい、NISA口座内で増えた資産(含み益も含む時価)が相続財産として評価されます。NISA口座は所得税非課税ですが、相続税は適用されます。